昨日、もうひとつのブログ「暮らしと勉強」で載せた記事です。
日常生活については「暮らしと勉強」で書かせていただいてますが、今日はそこから「介護」についてのお話になりますので、こちら「猫と介護」のブログでお話させていただきたいと思います。
「さっさと本題に入ってちょうだい。」
昨日のブログを簡単に説明しますと、こうです。
もうとっくに終わっている私の祖父の遺産分与について、亡き父の弟である三郎おじさんが「遺産分与のやり方にまちがいがある。今コンビニが建っているあの土地は自分のものだ。遺産相続をやり直すべきだ。」と言いだしました。
三郎おじさんが欲しがっているその土地は、現在二郎おじさんが相続しています。二郎おじさんは末期癌で認知もあるので、二郎さんの息子である私の従弟が対応にあたっていますが、三郎おじさんの権幕に途方に暮れています。
三郎おじさんは、ウチの父や二郎おじさんとはずいぶん年が離れています。現在70代前半。
昔からおとなしく穏やかで、私は彼が怒ったところを見たことがありません。
従弟も「三郎おじさんは人が変わってしまったようだ。怒りで声を震わせて『両親が血と涙で耕した畑をコンビニにするなんて!』と怒鳴るんだ。」
その土地がどうとか、コンビニにするのはどうかとか、その話は置いておいて。
声を荒げることなど1度もなかった優しい性格の三郎おじさん。
ましてやお金や土地に執着するような人ではありません。
生活するお金に困っている様子もまったくありません。(三郎おじさんの息子談)
で。
「もしかして、三郎おじさんは認知が始まった?」
・・・と思ってしまうのです。
「それは困ったわね。」
三郎おじさんは、末期癌で自宅療養中の二郎おじさんとその奥さんをなじり続けます。
二郎さん夫婦はすっかり怯えてしまい、たびたび突撃訪問してくる三郎おじさんに途方に暮れているのです。
妹が提案しました。
「三郎おじさんに認知が始まって、暴力的な言葉と態度に出ているとしたら。ユマニチュードという方法で、三郎おじさんに優しさを伝えるという態度で対応したらどうかしら。」

家族のためのユマニチュード: “その人らしさ"を取り戻す、優しい認知症ケア
- 作者: イヴジネスト,ロゼットマレスコッティ,本田美和子,Yves Gineste,Rosette Marescotti
- 出版社/メーカー: 誠文堂新光社
- 発売日: 2018/08/24
- メディア: 単行本
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「ユマニチュード」という言葉を私は初めて聞きました。
ユマニチュード(仏: Humanitude)とは、包括的ケアメソッドのひとつ。ひろく用いられているが、特に高齢者と認知症患者において有用とされている。ユマニチュードとはフランス語で「人間らしさ」の意。Wikipediaより引用
ユマニチュードではまず評価を行います。
- 回復を目指す
- 機能を保つ(悪化しないようにする)
- 共にいる(そばに居て、穏やかに死を迎える)
といういずれの 段階にあるのか、評価する。
ケアの実施にあたっては
- 見つめること
- 話しかけること
- 触れること
- 立つこと
を基本として、これらを組み合わせて複合的に行います。 「見つめながら会話位置へ移動する」「アイコンタクトが成立したら2秒以内に話しかける」「言葉をかけながら、相手に静かに触れる」など、そのケアの内容は具体的。150を超える具体的な技術があり、「人とは何か」という哲学に基づいて体系化されています。
大声で叫んだり、暴力的になったりするBPSD(認知症の行動・心理状態)を呈した人でも、ユマニチュードの方法でケアされるととても穏やかな表情を見せることから「魔法のよう」と評されることもあるそうです。
三郎おじさんの場合はまさにこの「大声で叫ぶ」「(言葉が)暴力的になる」症状です。
三郎おじさんへの対応は、遠く離れている私には何もできません。
でもこの「ユマニチュード」という介護、私も母への接し方に考えさせられました。
手を握る 手は必要に応じて支える時だけ差し出す。
視線を合わせる 母は座っていることが多いから、私は立ったまま明らかな「上から目線」で話すし。
ゆっくりしゃべる だいたい私は超早口だし(笑)
うわ。
私はどれもやってない。
ユマニチュードの四つの柱
「見る」
・水平に、正面から
・近くから、長く
「話す」
・低いトーンで、優しく、歌うように
・ポジティブな言葉を途切れなく
「触れる」
・広い面積で、ゆっくり、包み込むように
「立つ」
・1日計20分は立つ時間を作る
「ユマニチュード入門」(医学書院)から引用
ただねぇ・・・
頭でわかっていてもそれを実践するのは難しいのよ。
毎日一緒に暮らしてるとね。
三郎おじさん。
私はもう10年近くお会いしてないけど、いつか会うことができるかしら。
「おじさん、あの土地は二郎おじさんの物だよ。」なんて言わないで、優しくゆっくりとしたテンポと低いトーンで「久しぶりですね、お元気でしたか。」と声をかけてあげたい。
「そんなふうに話しかけられたら・・・」
「アタチは寝ちゃうね💤」